NS-1の魅力と特徴
ホンダのNS-1は、1990年代の原付バイク市場に登場した異色のモデルでした。レーサーレプリカのスタイリングと、スクーターならではの使い勝手を併せ持った、まさに50ccバイクの理想形とも言えるマシンです。その魅力と特徴について詳しく見ていきましょう。
まず、NS-1の最大の魅力は、その圧倒的なパワー性能にあります。水冷2ストロークエンジンを搭載し、最高出力7.2PSという驚異的なスペックを発揮していたのです。当時の国内メーカー自主規制最高値を記録したこのエンジンは、同時期に発売されたNSR50やNS50Fにも採用されており、ホンダの原付クラスを代表する名機として知られています。6速ミッションとの組み合わせで、スポーティな走りが楽しめるのが大きな特徴です。
また、NS-1は原付クラスとしては珍しい高性能な足回りを備えていました。前後にはディスクブレーキを採用し、高い制動力を発揮。フロントフォークには当時としては最も太い径31mmを採用するなど、スポーツバイクに匹敵する仕様となっています。さらに、軽量なツインチューブ・ダイヤモンド式のフレームを採用し、乾燥重量92kgを実現。スポーツバイクとしても十分な性能を発揮できる設計となっていたのです。
一方で、NS-1にはスクーターならではの利便性も備わっています。ガソリンタンクの部分が収納スペースになっており、ヘルメットやバッグなどを収納できるのが大きな魅力。見た目はレーサーレプリカですが、日常の移動手段としても使いやすい設計となっているのです。
このように、NS-1は原付クラスとしては珍しい高性能なスポーツバイクでありながら、スクーターならではの使い勝手も兼ね備えた、まさに異色のモデルだったと言えるでしょう。スポーツバイクの魅力と日常使いの利便性が見事に融合した、50ccバイクの理想形とも言えるマシンなのです。
スペック
そのNS-1には、前期モデルと後期モデルの2つのバージョンが存在します。前期モデルは1991年から1994年まで発売され、当時人気を博していたレーサーレプリカ・NSR250Rを意識したスタイリングが特徴でした。一方、後期モデルは1995年以降に登場し、400ccクラスのレーサーレプリカ・RVFをイメージした迫力あるデザインに変更されています。また、点火方式の変更やリードバルブ形状の見直しなど、細部にわたる改良が加えられました。
NS-1は、原付クラスの中でも群を抜くスポーツ性能と実用性を兼ね備えたモデルでした。当時の若者を中心に熱狂的な支持を集めたこのバイクは、今でも多くのバイクファンの心に刻まれているのではないでしょうか。