コロナ禍による打撃と好影響
2020年から始まった新型コロナウイルスの蔓延は、世界経済に大きな打撃を与えました。それは、日本の二輪業界も例外ではありません。コロナ禍の長期化に伴い、物流が停滞したり、バイクに必要なパーツ・半導体が不足したりという逆風にさらされました。
一方で、そのような状況に陥ったにもかかわらず、2020年から2021年にかけて新車出荷台数は前年比15.3%のプラスになったのです。この数字は、コロナ禍前から減少のイットを辿っていたバイクの販売台数を2015年の水準にまで回復させたということです。
「密」を避ける乗り物として注目される
コロナ禍は、人々のバイクに対する意識に変化をもたらしたといわれています。新型コロナウイルスの感染を予防するため、首相官邸・厚生労働省は「3つの密(密閉・密集・密接)」という標語を掲げ、3つの密を避けるようにと呼びかけました。
そのため、乗用車は密閉を避けるためにしばしば窓を開ける必要があるのですが、バイクは基本的に1人乗りで、密閉空間に閉じこもることもなく、3つの密を避けるのに都合のいい乗り物でした。
このことがきっかけとなり、バイクが移動手段として注目されるようになってから、需要が高まっていったのです。
また、3つの密を回避できる趣味として、キャンプといったアウトドアも流行り始めました。バイクはアウトドアと親和性が高く、一人でも楽しめる趣味ということで、コロナ禍で注目を集めるようになりました。
さらに、企業ではテレワークやオンライン会議など、ネットを介した対人コミュニケーションが活発になり、働き方のシフトチェンジも起こりました。テレワークなどで自宅にこもっていると、外に出てリフレッシュをしたいという世相が強くなります。このような世相ともバイクは非常に相性がよいため、バイクブームともいうべきムーブメントが加速していると見られています。
こういった事情からバイクの需要が高まると同時に販売台数も上がり、2020年~2021年にかけて中古バイク価格も高騰しました。
中古バイクの価格も上昇
バイクの需要が高まって、中古バイクのオークション相場も上昇しました。2020年と2021年のオークション市場を比べると、平均価格は約56,000円上昇したと言われています。2020年は新車の出荷台数が確保できず、新車が手に入らないという自体が相次いでいました。しかし、コロナ禍が落ち着いて新車の出荷台数が回復しつつあった2021年にも、引き続きオークション相場の高騰が続いています。