バッテリーは「買う」から「借りる」時代へ
「電動バイクは充電に時間がかかるし、数年でバッテリーが劣化したら交換費用が高い」…そんなEV普及の壁を打ち破るサービスとして注目されているのが「Gachaco(ガチャコ)」です。これは、街中に設置されたステーションで、減ったバッテリーを充電済みのものと「ガチャッ」と交換するだけで、すぐに走り出せるバッテリーシェアリングサービスです。
Gachacoの最大のメリットは、車両購入時の初期費用を劇的に抑えられる点にあります。これまでの電動バイクは車体価格の約3分の1をバッテリー代が占めていましたが、Gachacoを利用する場合、ユーザーはバッテリーを購入する必要がありません。車体だけを購入し、バッテリーはサブスクリプション(定額利用)で借りる形になるため、例えばホンダの電動スクーター「EM1 e:」であれば、国や自治体の補助金を活用することで、実質10万円以下という驚きの低価格で手に入れるケースも出てきています。
また、バッテリーの劣化を気にする必要がないのも大きな利点です。常にメンテナンスされた良質なバッテリーが提供されるため、「中古で売る時にバッテリーが弱っていて値がつかない」といった心配も無用。ガソリン車で言うところの「給油」感覚で、常に元気なバッテリーを使い続けることができるのです。
個人ユーザー向けの料金プランと対応車種
これまで法人向けが中心だったGachacoですが、現在は個人ユーザー向けのプランも整備されています。ライフスタイルに合わせて選べる主に2つのプランがあり、週末たまに乗る程度のライトユーザーなら、月額基本料を抑えて使った分だけ支払う「ライトプラン(月額1,000円程度+従量課金)」。通勤・通学で毎日ガッツリ乗るユーザーなら、一定量の利用料が含まれた「スタンダードプラン(月額2,800円程度〜)」が用意されています。
対応車種は現在、ホンダの「EM1 e:(イーエムワン イー)」や、ビジネス用として実績のある「BENLY e:(ベンリィ イー)」、「GYRO CANOPY e:(ジャイロキャノピー イー)」などがラインナップされています。これらの車両は、シート下のトランクスペース等に共通規格のバッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を搭載しており、どの車種でも共通のステーションを利用可能です。
利用方法は非常にシンプルです。専用のIDタグ(またはスマホアプリ)を持ってステーションに行き、空きスロットに使用済みのバッテリーを差し込みます。すると認証が行われ、満充電された別のバッテリーがポップアップして取り出せるようになります。所要時間はわずか1〜2分。ガソリンスタンドで給油するよりも早く、重たい充電器を自宅に持ち帰る手間からも解放されます。
ステーションはどこにある?都市部を中心に拡大中
気になる交換ステーション「Gachacoステーション」の設置場所ですが、現在は東京都内や大阪府などの都市部を中心に展開が進んでいます。特筆すべきは、その設置場所のユニークさです。ENEOSのガソリンスタンドはもちろん、駅前の駐輪場、コンビニエンスストア、あるいは地下鉄の駅出口付近など、生活動線上の便利な場所に設置されています。
ステーション自体は自動販売機ほどのスペースがあれば設置できるため、今後もマンションの敷地内やドラッグストアの駐車場など、身近な場所への増設が期待されています。専用アプリを使えば、近くのステーションの場所だけでなく、「充電済みバッテリーの在庫数」もリアルタイムで確認できるため、「行ってみたら充電切れしかなかった」というトラブルも防げます。
まだ全国どこでも使えるわけではありませんが、通勤や通学の範囲がエリア内であれば、自宅に充電環境がなくても電動バイクライフを始めることが可能です。「充電待ち」という概念をなくすGachacoは、原付ユーザーのライフスタイルを根本から変える可能性を秘めています。
