バイク業界はなぜ電動化に舵を切っている?
政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すと公言しました。つまり、地球温暖化に影響を与える温室効果ガスを、最終的にはゼロにすると宣言したのです。
ガソリンで走行するマシンはその構造上、温室効果ガスの排出が避けられず、バイクも例外ではありません。乗用車やバイクといったモビリティは電動化に舵を切りました。
まず電動化の軌道に乗り始めたのは乗用車(四輪車)の分野です。充電ステーションなどのインフラ整備と電気自動車の普及は加速しています。バイクも電動化に舵を切ったのは同様です。乗用車ほどの普及はしていませんが、来たるカーボンニュートラルに向けて電動化もしくは非ガソリン化へ方向転換を行うことを余儀なくされています。
バイク電動化の現状
バイク電動化は世界的に見ると進んでおり、例えば中国・台湾などではかなり普及していて、電動バイク向けの電池シェアリングサービス・デリバリーサービスがすでに運用されています。
日本でも本格的に動き始めていますが、普及は遅々として進んでいないという状況です。非ガソリン車という括りで見ると、乗用車(四輪車)はじわじわと普及しており、ラインナップも増えていますが、バイクのラインナップは乗用車ほど増えてはいません。
バイクの2035年問題
2020年12月に、東京都知事は「脱炭素社会の実現」に関する取り組みを発表。その取り組みの中には、四輪車は2030年までに、二輪車は2035年までに、都内で発売される二輪車の新車をすべて非ガソリン車にするという項目がありました。四輪車の場合は電気自動車・ハイブリッド車がだんだん普及しつつありますが、バイクの非ガソリン車化は日本ではあまり進んでいないため、「バイクの2035年問題」として取り上げられるようになりました。
航続距離の課題は解消されつつある
電動バイクは、充電ステーションがないために、長距離を走るのが怖いという課題がありました。また、充電も長くかかるので、夜のうちに自宅で完全に充電しておかなくてはならないという不便さもありました。
しかし、このような航続時間の課題は、日本以外に目をやるとすでに解消されていると言ってもいいでしょう。台湾のメーカーであるGogoroはすでに電池のシェアリングサービスを展開していて、都市部であれば3分走れば電池を補充できるような環境を整えています。しかも、電池の交換にかかる時間はわずか数秒。台湾で発売されている電動バイクの9割はGogoroの電池シェアリングサービスに対応した車両だと言われています。
日本のメーカーも電動化・非ガソリン化のためにいろいろ模索していますが、台湾では一足先にビジネスモデルが完成しています。この規格を採用するのか、それとも、独自の規格を用いるのかについては、今後注目したいところです。